ゆる、と触れる指先にさえ過敏に反応する自分がもうわからない。 足の先が、きゅう、と縮こまる気さえする。 声を抑えるために加えていた四本の指は、息を苦しくさせるだけのものと成り果てている。 引きずり出せば、唾液でふやけてしまって醜いことだろう。 「知佳、ねぇ」 声を聞かせてと。 甘く囁き掛けてくる男の声が、耳から全身を駆け巡る。 ねぇ。甘く、やさしく。どこまでも、どろどろに蕩かしていきそうなほどの多幸感を募らせてくる。 熱を含む息と、熱い舌が耳朶を軽く食んだ。 それだけで、知佳の意識はまた熱にぶれる。 「………し、ば………ぁ、し、ば」 震える声は弱さというよりもむしろ、健気さであろうか。 普段、声をあらげ盛大に笑い声をあげている彼からは到底想像もつくまい。 その事実に、芝はひどく満足げな顔を浮かべる。 何故ならそれは、自分のものだという証に他ならない。 嗚呼。倒錯の吐息が漏れる。 さんざ乱されながら、最後まで達しきれていない知佳の太腿がひくり、ひくりと戦慄いた。 「見てるだけなのに、感じちゃった?」 かわいいね。知佳は、本当にかわいい。 喉奥の笑いに、過剰なほど知佳が首を振り髪を乱して否定をする。 無意味だというのに、なんと可愛らしいこと、と。また、芝は笑みを深くするだけだというのに。 「イキたい? 中も此処もぐちゃぐちゃなのに、イってないもんねぇ?」 汗で張り付いた前髪を払い、態と視線を合わせる。 直視出来ぬ事実と、目を合わせようとする行為は、今ここに限っていうなら悪趣味の一言に尽きるだろう。 「あ、あく、……っそ……」 翻弄されっ放しの自分が悔しいのか、取り払われた指先をまた口元にもってきては指を噛む。 いっそ噛み切るか、といわんばかりの様を放って、胸元に指を這わすとそのままそのまま力任せに摘み上げた。 唐突な痛みに、知佳の首が反らされ噛んでいた指にもきつく歯が立てられる。 足が空を蹴る。芝自身に当たらないのは、無意識かそれとも現状をなんとかして欲しいと身体が切に訴えているためか。 「ねぇ、知佳。欲しがってよ」 イキたくて仕方がないはずでしょう、と、濡れた音を立てて耳元で囁く。 まとめた指が入り口より少し深いところを這えば、それだけで頭が白く染められていく。 ぐじゅ、ぐじゅ。と、表現しがたい音がどこから出ているかなど考えたくない。 「それとも、まだイキたくない?」 「も……、出ぁせぇ……」 舌ったらずな言葉に、笑みが深まる。 痛んだ髪を掻き混ぜ、両手でほほを包み込めば震える舌が伸ばされた。 絡めとるように同じく舌を伸ばせば、必死で離すまいとしてくるのだから愛おしさは募る。 「イキたい?」 「……、ん、ん」 こく、こく、と、小さく動く首がかわいらしい。 「じゃあ、知佳、赤玉出すくらいイカせてあげる。ま、トイレ行ったらその度に俺のこと思い出す、っていうのも悪くないだろ?」 芝がなにを言っているのかなど、意識の範囲外だろう。 空ろになりつつ頭で、知佳は早くはやくと強請るように吸い付く舌へ力を込めた。 「嗚呼、ホントに知佳は可愛い」 精液まみれになって、泣いても今度はイカせ続ければもっと可愛い顔が見られるだろうか。 期待を胸にしながら、肉を割って自分の性器を知佳の中に押し入れた。 愛しさと熱で、目が眩みそうだ。 *** 生ぬるいエロで本当にすいません・・・orz |