嗚呼、嗚呼、嗚呼。 気が狂うような恋を。 この感情を恋というのなら。 嗚呼、世の人間に敬意を表そう。 気がふれる。 この想いを、恋と呼ぶのなら。 こんな醜くて穢くて汚れていて汚らしくて惨めで無様で滑稽で醜悪で。 この世のありとあらゆる汚物をつめても尚足りない、ものを。 あんな綺麗な言葉で飾れるなら。 それは人間を褒めるに値するものだろう。 「嗚呼、ねぇ。思徒少翁」 踏みつけた先が、黒い髪。 泥と砂で汚れた、精液と血液で汚れた。 なんて美しい芸術品。 嗚呼、嗚呼、嗚呼。 なんて美しく醜悪で滑稽なバケモノ。 「貴方は此方側のモノなのですから」 此方側の物なのですから。 此方の物なのですから。 「勘違いをなさっていませんか?」 勘違いをするほど、なにを。 なにを、得たの? 愚かな化け物。 「貴方は此方側の物なのですよ? 思徒様」 勘違いしてはいけない。 思い上がってはいけない。 間違えてはいけない。 迷ってはいけない。 迷うな、間違えるな、思い上がるな勘違いするな―――考えるな。 貴方様は、此方側の芸術品。 好品。 美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい美しい。 ―――そしてなによりも醜い芸術品。 踏み躙って犯して嬲って、調教しても足りない。 長く生きているくせに、縋りつくのが一人の女。 そんな惨めで惨めで惨めで哀れな、化け物が愛しく思えるのだから。 嗚呼、嗚呼、嗚呼。 なんてなんて、愚かなコイゴコロ。 "彼"の頭を踏みつけたまま。 なによりも深い想いで告げる。 誰よりも醜い願いで口を開く。 憎悪と嫌悪でどうぞ見つめて。 熱で潤んだ瞳より。 其方のほうが余程望ましい。 化け物からのアイジョウなんて、気持ち悪くて反吐が出る。 嗚呼、それでも。 「嗚呼、我的可愛的妖怪」 あいしているより、醜い感情の名前をどうぞ教えて。 *** 董奉×思徒は私のツボを突きすぎている件について。 最後の董奉の台詞は「嗚呼、私の愛しい化け物」です。そのまんまだ。 |