痛んだほうが良かった手




 きっとどうしての疑問はあっても。
 私は、後悔はなくて。
 きっとなんでの疑問はあっても。
 私は、憎悪なんてなくて。
 ただ知りたかった。
 ただわからなかった。
 どうして喜んでくれないの?
 どうして笑ってくれないの?
 どうして私の前でまで仮面のままでいるの?
 どうして? どうして? どうして?
 どうして世界は綺麗なの?
 どうして戦争は起きているの?
 どうしてみんな泣いているの?
 どうしてみんな叫んでいるの?
 どうして誰かが死んでいるの?
 どうして誰かが殺しているの?
 どうして誰も教えてくれないの?
 どうして誰か答えてくれないの?
 世界の疑問。
 どうしてばかり。
 わからないの、わからないの。
 どうしたらわかるかがわからないの。
 どうしたら答えを得られるのかがわからないの。
 どうして私はわからないのか。
 それすらも私にはわからないの。
 ねぇ、わかるのはあなたが私を撃ったということ。
 其の後はもう全部わからないの。
 スザクが笑っていたわ。
 でも泣いていたわ。
 どうしてかしら。
 それがうれし涙ではないことくらい、私にだってわかるのに。
 でも上手くいったというなら。
 良かったとも思えるの。
 だってそうしたら、また一緒にいられるでしょう。ルルーシュ、ナナリー、それにスザク。
 優しい昼下がりにお茶をしましょう。
 ねぇルルーシュ、あなたはもう罪を重ねなくていい。
 ねぇナナリー、あなたに似合うドレスを作りましょう。
 ねぇスザク、そんな幸せな世界を一緒に作る手伝いをしてくれるでしょう。
 ねぇそれだけが望みなのに。
 どうして世界は壊れていくの。
 どうして世界は崩れていくの。
 どうして世界は色褪せていくの。
 どうして世界は暗くなっていくの。
 ねぇどうして。
 わからないのわからないの。
 教えてお姉様。
 教えてルルーシュ。
 どうしてあなたは泣いているの。
 どうしてあなたは悲しんでいるの。



***
 疑問を抱く前に全て誂えられた世界にいた、というイメージがユフィにはあります。
 疑問を持つ必要もなく、優しい世界を疑うことなく。
 勿論、無力さに歯がゆい想いをしたことも事実でしょうが。無力感って、普通人間誰しも味わうと思うので(というか、味わわないとまずい んですよ)それ別に特別じゃねぇよなぁ、と思いました。





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