車椅子の上の少女は、寂しそうだった。 哀しそうだった、辛そうだった。 瞳は、話す口ほどに物を言う。 その瞳が瞼の奥に押し隠されていたけれど、それでもルルーシュにはわかった。 最愛の妹だからこそ、わかった。 「私、良かったんです」 妹の、優しい声。 言葉。 声音。 愛しい、愛しい。妹。 大切に。 彼女だけは、どうか仕合せに。 そう、願い続けていた存在。 そう、願い続けてきた存在。 「良かったんです。このままで」 御願いをしました。 やさしいくにをくださいという。 途方も無い、お願いをしました。 嗚呼、けれど。 「私には、このクラブハウスが、世界の全てだったんです」 日本に送られて、戦争が起きて、アッシュフォード家に保護されて。 それでもずっと、兄がいてくれたから恐ろしいことなどなにもなかった。 矢面に彼が立ってくれているのを、知っていたから。 「だからもう、良かったんです」 このままでよかった。 このままがよかった。 此処こそが、ナナリー自身が望んだやさしいせかいだった。 「何故ですか」 繰り返す問い。 先ほどから、何十、何百。否、何万と繰り返されてきた問いだ。 「何故ですか、お兄様」 どうしてゼロなどになろうと思われたのですか。 どうして、ユフィ姉様は日本人を虐殺しようとしたのですか。 あなたがそれに、関わっていることは察せます。 お兄様。 どうしてですか。 何故ですか 「何故、今のこの世界ではいけなかったのですか………?」 あなたにとって、箱庭と楽園とやさしいせかいは同義ではありませんでしたか。 *** ナナリーと、ルルーシュ。 向かいあうけれど、ルルは何も言えないと思います。 ナナリーだけはルルを否定して欲しくないのですが、22話見ちゃうとorz(うあああああ) |