終末にひどく近い場所




 どこがいい、と問い掛けた。
 どこかがいい、と応えた。
 誰も知らない、どこかがいい。
 その望みを、叶えた。
 巫女は王と共にあるものだから。


 気付けば、白波の線ばかりを追っていた。
 他に動くものは、世界にないかのようだ。
 線は遠く、音は届かない。
 ゆっくり身体を傾けて、そして横向きになったまま白波を眺めていた。
 矢張りざわざわと動いているそれであったが、耳には届かない。
 側頭部をこつ、となにかが触れた。
 わずかにずらし見てみれば、それは小石であった。
 再び気にすることも無く、白波を眼にしている。
「ルルーシュ」
 短い女の声に、視線だけで応えた。
 なにをしている。そんな問いに、ただ、白波の。呟き返す。
「白波の打出の浜の秋霧に晴れずもの思ふ鳰鳥ぞ鳴く」
「藤原高遠か。意外だな、そんなものにまで眼を通すほど、暇ではなかったようだが?」
「スザクの家の、蔵にあった」
「嗚呼、それで」
 子供が読むものでもないだろうにと、女は言わない。
 彼がただの子供でいられたのは、母であるマリアンヌが死ぬまでであると知っていた。
 日本に送られた時既に、彼は子供ではなかった。
 女はそれを、よく承知している。
「×××」
 呼びかけられた名に、女は緩やかな軌跡を描いて振り向いた。
 既に其の名は呼ばれ慣れて久しい。
 けれど、この優しさには慣れていない。
 相反するものが、女の胸に宿ってばかりだ。
「お前はこんなに独りだったか」
 遠くの白波が、今は無い。
 暮れかける日が、橙に空と海を其々染めていく。
 石柱と城じみたそれもまた、橙へ染まっていくようだ。
 全てが染まれば、あとは闇に紛れるだけだというのに。
 日は滑り落ちるのを止めない。
「マオがいた。アイツもいた」
 今はお前もいる。
 だから、一人ではないのだよ。
 独りにでは、ないのだよ。
 本当の意味で、独りであったことなどほとんど無かったのだよ。
 女は答えた。
「ルルーシュ」
 呼びかける女の声に混じる、愛惜を感じ取ってか、ふと、笑んでみせた。
 日は滑り落ちていく。
 影が、長く伸びていく。
「静かだ」
「そうだな」
 空が紫に変わり行く。
 女は、赤く羽ばたき続ける彼の瞳を覗き込み、苦笑した。
 泣き笑いに近い、歪んだ笑み。
 此処はどことも知れぬ、永遠の場所。
 終わり続ける女の、寝所。
 王と共に、巫女は在り続ける。



***
 なにエンドだろう………! 自分で書いておきながらわかりません。
 全てが片付いたら、C.C.と一緒。というのが、管理人好きみたいです。
 そこにマオを! ギアス親子を再び!!(無理を言わない。

 相変わらずフィーリングだけで書いててすいません。情景だけ感じ取ってもらえれば幸いですorz





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