魔女と対峙した少年は、一歩退いた。
 一歩、彼女は歩を進める。
 一歩、少年は歩を退ける。
 ライトグリーンの髪を美しく棚引かせ、女は笑った。
 侮蔑には程遠く、けれど優しさなど欠片も浮かべていない。
「あ………」
「お前が、そうか」
 蒼褪めた表情の少年にも、魔女は容赦など無かった。
 間合いは、十分にある。
 ロロ自身身体能力には、それなりの自信があった。
 けれど、何故か、恐怖が勝った。
 この魔女の存在を、知っていた。けれど、対峙したのは初めてだった。
 存在感が、陽炎のように危ういのに確とある。
 恐ろしさが、指の先を震わせていた。
「なるほど………。悪趣味、だな」
 しげしげ視線を動かしていた彼女であったが、にやりと人の悪い笑みを浮かべる。
 不意に、少年にカッと頬に赤みが走った。
 彼女にだけは、この魔女にだけは言われたくないと言わんばかりの様子であったが。
 それでも、歴戦の魔女にはその程度の激昂はそよ風にも満たない。
「嗚呼、安心しろ。なにも、言わない」
 誰に。とは、口にしない。
 だが示す人物は、ただ一人だけであることを双方暗黙のうちに理解をしていた。
 憎憎しげな視線は、優しげな少年の表情には似合わない。
 憎悪を浮かべる視線に、意地の悪い笑みを魔女は浮かべるばかりだ。
 その余裕が。
 実際は、崖先に爪先立ちしているような緊張感の中でのものだといったら。
 一体どれだけの人間が、納得してくれるだろうか。
 現在のルルーシュにとって、ロロを害する存在は敵だ。
 以前、C.C.が彼の敵とならなかったのはナナリーに先に自身の存在を認めさせていた上で敵ではないと、彼女に認めさせていたからに他ならない。
 ロロを脅えさせたなど知られれば、いくらC.C.相手であろうと何事か詰め寄ってくることだろう。
 故にこれは、知られてはならぬこと。
 なによりも愛しいから、知られてはならぬこと。
「秘密を作る共犯者にしては、お粗末だがな」
 呟く魔女の言葉に、それだけは賛成だとロロは口の端を僅かに吊り上げて頷いた。



***
 現時点でロロが何者かわからないままなのですが、Lost Colorでアレコレあったので味方ではないと思ってしまっていますorz
 C.C.様はルルの王子様で共犯者で魔女だと、断固主張したいデス。


なにもない振りを、しよう。




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