カツン、と、地下通路の乾いたコンクリートを堅い音が叩いた。
 血が、こわごわ広がっていく。
 紫に燃え広がるそれらは、果てしない異臭を放っていたが最早男は気にしない。
 気にすることなど、出来はしない。
 天を仰いだところで、ここは落ちた地下だ。
 堕ちた地下。
 嗚呼、なんて皮肉だろうとルルーシュは嘲け笑う。
「なぁ。どう思う? C.C.」
 広げられた腕はくるりと、綺麗な線を描いた。
 黒髪が、さらに細面となってしまった彼の頬を撫ぜる。
 冷えた炎が、肌と彼自身を嬲っていったが気にした様子はない。
 肩口に振り返り、問い掛けた声は懐かしさをどこかに沸かせた。
 実際は一年程度でしかなかったが、それでも長く感じてしまうのは二人の距離があまりに近すぎたせいだろう。
 羽ばたいた赤い鳥は、今は大人しい。
 けれど、その危険性はもう知っている。もう、過ちは犯さないとばかりに。
 静かにさせているとでも、言うかのよう。
 よろけていた足は、今は既に確りと地に足をつけている。
「それは、どれについての問いだ?」
 正義の正しさか。悪の不正か。
 復讐の悪に対する正否か、友情の正しさか。
 どれを問う? どの答えが、知りたい?
 白いパイロットスーツを、赤い血で染めた魔女が優しく微笑む。
 正しい答えなど、求めていないことを彼女は知っている。
 だから、これは答えが聞きたいのではなく。
 ただ、魔女の意見を耳にしたいだけなのだろうと。
 彼女は正しく、理解した。
「………復讐は、悪ではないだろうよ」
 ただ、正しくないだけで。
 ただ、悪ではないだけで。
 間違っているというだけで。
 間違っていないというだけで。
「お前は、間違っていないよ。ルルーシュ」
 そう。
 間違っていたのは。
「間違っていたのは、世界のほうだ」
 皮肉げに微笑む。
 同時に、嬉しそうに嬉しそうに彼は喜んだ表情を浮かべた。
 暗い昏い享楽の世界の底で。
 魔王は、ゆったりと眼を覚ました。



***
 家に一本SS入りのUSBを忘れてきたのに、一本書きあがる早さが尋常で無いのです。
 あああ更新したい更新したい更新させてぇええええええええええええええorz
 


おやすみ、日常




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