其はまどろみの宵に似た、闇色の室内。 屑星さえも、息を潜める毒に似た甘さの室内。 崩れた全ては、何をか況や。 語る語を持ち合わせていない、世界と人々。 取り残されたような二人。 態と残ったともいえる体ではあるが、さてそれは本人たちのみ知るところ。 騎士は主の膝枕に甘えていた。 そうあれかしと、誰が望んだわけでもないだろうがルルーシュは血縁に限らず懐に入れた人間には殊更甘い。 ならば、自身の騎士など甘やかす最たる存在なのだろう。 優しい眼をして、気に入りの柔らかい髪へ手櫛を入れる。 ロイドは、己の特権を噛み締めるばかりであった。否やなど、言おうはずもない。 ゆらりゆらり、灯りが揺らめいているのを視線の何処かで感じていれば、ふと、視線のみを上げて主を見やった。 答えるように、僅かにこくり。と首が傾く。 「我が君は、ぁ」 「ん―――?」 「神様を怨んだりは、なさらなかったんですか?」 甘やかな声で、問い掛ける内容が酷く滑稽。 柔らかい薄藤の髪を撫ぜて、ルルーシュは微笑んだ。 「そうだな……、皇帝を恨み続けて、自分の無力を恨み続けて、いたら。―――神を呪うことなど、忘れていたよ」 それは、神に現状の快復を回復を願うからではない。 それは、神が自身を愛していないのかと嘆く言葉ではない。 そんな陳腐なものではなく。 そんな安易なものではない。 神に祈る余裕もなかった。ただ単純に、それだけの話。 「嗚呼それでも」 神にはいて貰いたいと、細やかな笑みを浮かべ反逆者は謳う。 何故なのか問う表情でもしていたのだろう、主は騎士に微笑みかけた。 「死ぬ程度で私の憎悪が、晴らされるとでも?」 胸より幾分上で、十字を切る。 その様は、神に祈ると言うよりも首をかっ切り、更にそれを寸断する様にしか見えなかった。 「私は業深いんだよ、ロイド。殺す程度で赦すものか。死ぬならば、更に二度狂わせ、三度刻み、四度吊るし、五度括り、六度惨殺してくれ よう」 「そういう苛烈な台詞も、お似合いですねぇ。我が君」 恐れることなく、騎士はへらりと笑いかけた。 虚をつかれたような顔をしてから、やはり艶然とした微笑を浮かべる。 闇色の中を、仕合せそうに。幸せそうに。 そうしてから口を開き、吐き捨てる低い低い声は天への呪い。皇帝への呪詛。 「神などいらない祈りなど知らない、願いを叶えるのは私自身だ」 救われようなんて、一度として思わなかった。 ひとが乗り越えられるだけの試練しか与えないなら、ナナリーはどうなる。 神さえ見捨てたとでも、言うつもりか。 「―――だから」 いつか、なんて、待つことをとうに止めた黒の皇子は嘲弄を口元に上らせた。 この手に掴むものに、主への誓いなど存在しない。 *** アレです……。全てはねた神様が……。 なんかパラレルチックにゴシック風なのが浮かんだんです……見事玉砕しましたがorz |